マス(厚さ・重量)だけで構成する防音構造は費用と空間的な無駄が多く、生活空間や音環境の最適化を実現できない古い手法です。

費用対効果の高い音響・防音上の工夫は専門的防音材に加えて、一般的な建築材料で構築できないと実践的な工法・仕様になりません。

防音効果を高める4つの実践的工夫・仕様

生活防音

マス(厚さ、重さ)だけに依存する古い遮音設計手法は、費用と空間の無駄につながり、費用対効果の低い防音設計と言えます。

例えば石膏ボードとグラスウール、垂木の軸組を重ねただけの工法は分厚いだけで、部屋を狭くしたうえ、音響・防音効果の低い構造になります。
木造住宅やマンションなど建物の特性や周辺環境、間取りなどに応じて効果的な対策を最初の設計・施工の方針として計画することが必要です。
その中でも、構造物の遮音性能を大きく左右するのが防音材の選定と具体的な使い方です。

「遮音特性の異なるボードの併用」「空洞部の吸音材充填」「天井・壁・床の制振特性を考慮した防音材の仕様」「音の残響を抑えた表層材 の選定」これら4つの工夫は木造住宅でもマンションでも共通して有益なものです。
→ 防音職人の設計・施工の特長
ちなみに、遮音特性とは周波数帯ごとの透過損失や二次共振、コインシデンスの発生など素材や製品がもつ固有の特徴です。制振性は振動音などの 絶縁・減衰効果や下地構造の剛性などを考慮して使用する制振材、構造体の補強などによって左右されるものです。


音の周波数特性に応じた遮音対策と固体伝播音

騒音にも周波数特性があり、人間の耳で捉えることのできる可聴域の音には低周波から高周波まで幅広い周波数があります。防音設計の基本は 音の周波数特性を考慮し、対処するための防音構造の方針を決めることから始まります。
→ 音の周波数特性と防音設計

とくに重量衝撃音などの固体伝播音は硬質の遮音材にシフトした対策では限界があり、費用対効果の低い無駄の多い構造になります。 また、石膏ボードなど硬質の遮音材を多用すると反射音が強くなり、音響と居室の快適性が悪化します。
このため、住宅や木造家屋では、比較的薄い防音構造を構築することと、下地の補強が重要なポイントになります。この中で吸音材や制振・絶縁材の 活用が質量則を超えた防音効果の実現につながります。
→ 石膏ボードと遮音特性