マンション防音は経験者でないと実感できない

 マンションの生活騒音の問題や防音業界のレベルは、私が分譲マンションを購入した(平成7年)頃と現在も余り変わりません。 しかし、ボイドスラブやアンボンド工法、乾式遮音二重壁など比較的新しい工法の防音上の弱点もあり、課題は増えています。
 二重天井の弱点に見られるように、業界の供給する物件は、防音上の問題が改善されていないだけでなく、対策を行う専門業者に おいても、現実的な方策・工法を殆ど提示できない状況にあります。

 構造上の問題や、GL工法のように現在も解決されていない「古くて新しい課題」もあり、依然として設計者や デベロッパー、防音業者の認識は乏しく、生活騒音に悩むマンションユーザーの声が反映されていません。

 また、防音工事とは名ばかりのリフォームも横行して、問題を解決するどころか、逆効果になるような事例もあります。 私自身も身を持って体験しました。
 *参考情報:防音効果
 *GL工法以外の壁の騒音:壁の防音


マンション防音の課題は二重天井の対策に凝縮されている

 天井の振動騒音の多くは、上階の床における振動騒音が天井スラブに伝播し、階下の天井裏の空気層及び下地・ボードを同時に振動させて 起きるもので、その主成分は30~100Hzの低周波音、250Hz以下の音です。

 上階での衝撃音は発生した時点では固体音ですが、階下の空気層においては空気伝播音であり、下地やボードには固体伝播音としても 同時に伝わるため、両者の騒音特性を踏まえ、伝播経路及び天井裏空間における騒音遮断・抑制の対処が必要です。この点が、防音上、最も 難易度が高く、長年課題となっていました。

 当サイトのウェブマスターである私は、1996年に、この問題に直面し、費用対効果の高い、一般のマンションで実施できる現実的な 方策を模索してきました。2008年頃から、ようやく汎用性の高い現実的な工法・防音設計を生み出すことが出来、大震災のあった東北地方の マンション担当現場(2008年に防音工事を実施)においても、大地震後も十分な防音効果と耐久性を持続できました。
 *防音効果と構造の留意点:マンション防音
 *研究課題・事例:天井防音と課題
 *天井・GL防音依頼者の声:防音通信(マンション)