石膏ボードの遮音性能(透過損失)と周波数特性
石膏ボードの遮音上の得意な周波数帯は500~2000Hzです。苦手な周波数帯は低周波の100Hz以下と2000Hzを超える周波数帯です。
要するに石膏ボードは低音域と高音域に弱点があります。
*石膏ボードを重ねても弱点となる周波数帯が低いほうにずれるだけで傾向は変わりません。
マンションなどの建物の二重天井を石膏ボードで仕上げると、天井裏を含めた二重天井全体が共振体となり、低周波の周波数帯において 大幅に遮音性能が低下します。上階からの重量衝撃音(足音など)が共振する構造体の一部となってしまうのです。
また、石膏ボードを重ねて施工すると、防音室においては反射音が強くなり音響が悪くなります。使い方に注意が必要です。
石膏ボードと相性の良い防音材を活用する
石膏ボードの弱点を補完するには防音材が必要です。理想は柔軟性があり薄くて面密度の高い素材です。適するものには合成樹脂、ブチルゴム などがあります。再生ゴムも効果がありますが、経年に応じて劣化しますので耐久性の面で注意が必要です。
また、吸音率の高い吸音材や特性の異なる合板、シージングボードを併用すると防音効果が高まります。
なお、石膏ボードと石膏ボードの間に柔軟性接着剤を塗布して遮音欠損を小さくする工法もありますが、石膏ボードのつなぎ目からの遮音欠損が
解消できないだけでなく、接着剤に含まれる成分が揮発してシックハウスのような症状が出る利用者・居住者もいます。
換気計画に注意するだけでなく、安全性・施工効率や防音効果などを総合的に判断する必要があります。
やはり、石膏ボードと併用して相乗効果の出る防音材の活用が望ましいと思います。
*防音材の特性と相乗効果
防音エピソード・豆知識の目次(記事の一覧)
- 防音材にも処方箋がある (基本的な種類と留意点)
- マクロな防音室の計画論 (建築業者、建築士のレベル、リスク回避)
- 石膏ボードの遮音特性と活用 (透過損失の周波数特性に着目)
- GL壁と鉛の遮音効果 (鉛シート・遮音パネルの迷信)
- マンション二重天井の防音対策 (古い遮音設計マニュアルからの脱却)
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