ピアノ・チェロなどの床防音対策とリスク回避

木造防音室における床の音響・防音対策は当初の計画段階での方針が重要です。たとえば乾式浮き床工法を採用する場合は、 クリープ現象(浮き床工法の高密度吸音材など)が問題となります。経年変化で床がまるで不同沈下のように、沈んだり・へたってきて床鳴り などの問題が起きることがあります。
*防振ゴムを使用すると特定の周波数で同調して共振したり、耐久性を持たせるために硬度を大きくすると固体音が伝播しやすくなる。
従来型の浮き床工法は費用がかさむ割には弱点があるので、木造住宅の場合は別の制振対策を検討したほうが望ましいです。

ピアノの場合は、音響的には無垢材のフローリングが相性がよいのですが、経年変化で床鳴りが起きやすいので、面的な遮音制振工法が無難です。 そこで重要になるのが下地合板の絶縁と床下軸組を含めた剛性補強です。

チェロやマリンバの場合は費用対効果という観点ではカーペット敷きと絶縁材工法が望ましく、最初の段階で対策方針を依頼者と相談して決める 必要があります。


音響・防音計画は建築士・建築業者のレベルに応じて検討する

業界の常識として一般的に建築士は音響・防音設計は不慣れであり、とくに住宅、木造家屋における専門分野が確立されていないという建築業界の 状況があります。
このため、無理な換気計画や建物構造、断熱材工法を押し付けようとする建築士・建築業者には防音室は依頼しないほうが無難です。

また、専門的な防音材の施工に際しては、施工の仕方や手順を詳しく説明する施工図や施工要領をあらかじめ作成し渡さないと遮音欠損が大きくなります。

新築住宅などの現場においては、建築士や施工担当業者のレベルに応じて、防音工事の専門チームを投入するなど役割分担を含めて事前に計画すること が望まれます。
建物デザインを優先させた室内仕上げなどにはリスクのあるものが少なくなく、提案の段階で音響・安全性・耐久性などを含めた総合的な防音計画を 提示することが重要になります。


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